【レビュー】本棚のランダム表示が面白い!夏フェアの本を立ち読みできる角川文庫のメタバース書店へ行ってみた

角川文庫の夏のキャンペーン『カドブン夏フェア』の対象書籍をメタバース空間内で試し読みできるアプリ「角川文庫メタバース書店アプリ」が公開されている。

対象書籍の試し読みが可能

アプリをダウンロードしたら、アバターを選びユーザー名を入力して入室。アカウント登録などは必要ない。

メタバース書店の棚には各ジャンルの夏フェア対象書籍が並ぶ。気になる本をタップすれば、著者名や価格、発売日、概要などが表示される。さらに、読書記録アプリ「読書メーター」に投稿されたユーザーレビューを見ることも可能だ。

そして、「試し読み」ボタンからは、KADOKAWAの電子書籍アプリBOOKWALKERの試し読み機能を使って内容の一部を試し読みすることができる。

ネット書店にはない「偶然の出会い」が期待できる

何度か起動してみて気づいたのだが、このアプリは入室する度に本の並びが変わる。

しかも、アニメ映画の原作『竜とそばかすの姫』と森鴎外の『山椒大夫』が同じ棚に表示されたり、夏目漱石の『こころ』とホラー小説の『ゴーストハント』が並んだりとジャンルも混在している。

これは、“偶然の出会い”を求めるにはかなり良い機能ではないかと感じた。ネット書店や通常の電子書籍ストアの場合、欲しい本をピンポイントで検索したり、あるいは購入する本が決まっていない場合でもジャンル別のランキングなどから探すケースが多いだろう。

「あなたへのおすすめ」に表示される本も、そうやって閲覧・購入した履歴に基づくものなので、“普段ならまず手にしないジャンルの本”には出会いづらくなる。

「夏目漱石や森鴎外は読むけれど、ホラーカテゴリを見ることはまずないし、アニメ映画もあまり興味がない」という人でも、自分が読みたい本や知っている本と同じ棚に並んでいれば手に取ってみようと思うかもしれない。

“書店を何となくブラブラしていたら面白い本を見つけた”という、リアル書店の体験に近い感覚を味わえそうだ。

ユーザー同士で会話も可能

ちなみにこのアプリは、メタバース書店内に入室している他のユーザーのアバターが表示される仕様になっているが、同時にログインしているユーザーでも表示される本はそれぞれ異なる。

つまり、「同じ本棚の前に立っていて、お互いの姿は見えているのに、棚に並んでいる本は違う」というリアルではあり得ない状況が起こっているのだ。

ユーザー同士がマイクとスピーカを使って会話できる機能も備えているので、友人同士などで一緒に入室して、お互いの本棚ににどんな本が出ているかを話すのも楽しそうだ。

アプリからの購入は不可

残念なのは、アプリ内からは書籍の購入ができないこと。ちなみにiPhone版アプリの場合、試し読みの最終ページに「カートに入れる」というボタンが表示されて押下することも可能だが、その後「カートを見る」をタップするとアプリからは購入できない旨のメッセージが表示され、ボタンが機能していないことがわかる。

購入ができないのはアプリストアの規約上仕方ないとしても、せめて「お気に入り」「欲しいものリスト」のような形で何かしらの目印をつけることができれば購入時に役立ちそうだが、現状ではそういった機能も用意されていない。

ちなみにKindleや紀伊國屋書店のKinoppyもアプリ内での購入はできないものの、「欲しいものリスト」への追加はアプリからも可能なので、後からブラウザで購入する場合に比較的スムーズだ。

このアプリでも、BOOKWALKERのアカウントと紐付けてそういった目印を残すことができるようになれば利便性が上がりそうだ。

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