「G7群馬高崎デジタル・技術大臣会合」の開催にあわせ、2023年4月28日〜30日に群馬県高崎市のGメッセ群馬で開催されたデジタル技術展には、約100の企業や団体が出展。
そのなかから、デジタルツインやまちづくり、社会課題の解決などに役立つ5つの展示を紹介する。
「空間ID」で離れた地点の空間情報を共有
PwCのブースでは、「空間ID」に関する体験デモを実施。空間IDは、空間を立方体で分割して、それぞれにIDを割り当てることで三次元の位置を認識できるようにするしくみ。
デモでは、東京・大手町のオフィスにある自動走行車椅子と、会場のドローン、VRヘッドセットを装着した2名の体験者がVR空間内で違いの位置を認識できる状態で存在する状況を実現。
車椅子の進路をふさぐように停止していたドローンが飛び上がると、車椅子が自動走行で前進を開始。さらに、体験者が車椅子の進路上に立つと、進路を変えて迂回するように進んでいく様子を体験できた。
空間認識でその場所に合わせた音声を再生
XRスタートアップのGATRAIは、MRプラットフォーム「Auris」を体験できた。これは、スマホのカメラで3次元の位置情報を特定し、その場所に合わせた音声を再生するもの。
体験スペース内に展示されたパネルの前に立つことで、それぞれのパネルに合わせた内容の音声が再生される
スマホカメラでとらえた映像と、事前に空間をスキャンしたデータを照らし合わせて自分の現在地を認識する「VPS技術」を使うことで、センサーなどを一切使うことなく、場所にあわせた音声ガイドなどを提供できるとのこと。
デジタルツインを簡単に制作
FORUM8は、デジタルツインを簡単に制作できるVRCGソフト「UC-win/Road」についてのプレゼンを行っていた。
地図や地形、CADデータなどに加えて、国土交通省が主導する3D都市モデルのオープンデータ「PLATEAU」のデータや、点群データも取り込むことが可能。高精度なデジタルツインを短時間で制作できる。
交通量を変化させたり、天候や時間帯を変えたり、ドライバーの視点で映像を確認したりといったシミュレーションも簡単に行え、都市計画や防災対策、住宅地造成など広く活用できるという。
携帯加入者情報で高精度な人流計測
ドコモ・インサイトマーケティングは、携帯電話の位置情報をもとに500m四方のエリアごとの人口分布がわかる「モバイル空間統計人口マップ」に関する展示を実施。
これは、ドコモの携帯電話の加入者の位置データや属性データを個人を特定できない形で統計処理し、さらにキャリアのシェア率などを加味して計算することで、1時間ごとの人口を把握できるサービス。時間ごとのの人口だけでなく、年齢層や性別などの属性も把握できる。
渋滞予測や防災対策、商業施設での顧客ニーズの把握など、幅広い用途で活用が可能だという。
さらに今後は、地下や低層階、高層階などの階層にわけて人口を把握できるようにする応用事例「3Dモバイル空間統計」にも取り組んでいくとのこと。
「勝率100%」のじゃんけんロボット
東京大学・山川研究室と共同で進める「高速/柔軟ロボティクス技術の社会実装」のデモとして、「勝率100%じゃんけんロボット」の体験を実施。
人の手をカメラで認識し、「指が2本ならチョキ」「3本以上ならパー」などとアルゴリズムで判定して瞬時に勝てる手を出すというしくみ。
展示ではディスプレイに手の映像が表示される形になっていたが、5本指をもつロボットの手を使って行うことも可能だ。
AIではなくあえてアルゴリズムを使うことで、反応時間1msという非常に高速な処理を実現。物流倉庫での運搬や製造業のラインの無人化をはじめ、さまざまな産業分野での活用が期待できるという。
このほかに、会場には「空飛ぶ車」なども展示。
また、会場と駅を結ぶシャトルバスとして、自動運転バスの実験用車両も運行されていた。
さらに、駅から会場までの案内を表示したり、特定スポットで名物の「だるま」などを表示するARコンテンツも提供されていた。