マイクロソフトのメタバース「Mesh for Microsoft Teams」が解決する課題とは?【Microsoft Build2021】

マイクロソフトが昨年発表した、メタバース空間でのコミュニケーション「Mesh for Microsoft Teams」。マイクロソフトの開発者向けカンファレンス「Microsoft Build」内のセッション「メタバースに備える」では、その特徴や可能性がMicrosoft Teams ヴァイス・プレジデントのNicole Herskowitz氏によって語られた。その内容を簡単に紹介する。

Z世代の50%は「仕事の一部をメタバースで」

この2年間で、職場は劇的に変化した。従来のようなつながりをハイブリッドワークやリモートワークで実現するのは難しいものの、仕事を成功させるためにはそれが欠かせない。メンバーと良好な関係を築いている社員は幸福度も生産性も高く、転職の可能性も低いと報告されている。

社員たちは、個人的な繋がりを築いて効果的にコラボレーションを行いたいと思っている。データによると、50%のZ世代とミレニアル世代の人たちが今後2年の間に仕事の一部をメタバースで行うと想定している。

働く人たちはこの2年でバーチャルミーティングに慣れ、会議に費やす時間はパンデミックの間に250%以上増えた。そんなオンライン会議を次のレベルに引き上げるものが、Mesh for Microsoft Teamsだ。

Mesh for Microsoft Teamsの3つの要素

Mesh for Microsoft Teamsには、「アバター」「イマーシブ(没入型)空間」「ドロップインスペース」の3つの要素がある。

1.アバター

カメラをオフにしていても、ジェスチャーで感情を伝えることができるのが魅力。身体のパーツや髪の色、衣類、メガネなどの小物を組み合わせて柔軟に作成でき、複数のアバターを用途に応じて使い分けることも可能。そして何より、自分をどのように見せたいかを自由に選べるのもいいところだ。

2.イマーシブなミーティング

没入感のある3D空間に集まってコミュニケーションをとることができるので、建築家、工業エンジニアなど、3Dでプロトタイプのテストや微調整を行う際に非常に大きな力発揮できる。

さらに、没入型のミーティング体験は、一般の人にとっても大きな価値がある。Officeアプリケーションとの統合によって、PowerPointのプレゼンテーションやホワイトボードのブレインストーミングを表示したり、離れた場所にいる同僚と文書を共同執筆したりできる。

3.ドロップインスペース

「ドロップインスペース」は、職場の人間関係を構築するためのものだ。仕事をオンラインで行うようになったことで、やりとりが事務的になり、会議の後や移動中の廊下などで行われていた雑談の機会を失ってしまった。しかし、これらのやりとりは同僚を理解して信頼関係を築くうえで重要であり、仕事の満足度を高めるためにも重要なものだった。

そして、こういった経験へのニーズは非常に高まっている。40%以上のリーダーが、人間関係の構築をハイブリッドワーク・リモートワークにおける最大の課題だと考えている。

Mesh for Microsoft Teamsにはドロップインスペースが常に存在し、休憩中に偶然会った人と会話をするなど、メンバー同士の自然で自発的なやりとりが発生する。こういった偶然の出会いが新しいアイディアやビジネスチャンスにつながる。

PC、スマホ、VRヘッドセットでアクセス可能

Mesh for Microsoft Teamsの空間内に入るために特別な機材は必要なく、PCやスマホからアクセスが可能。この場合、3Dもしくは2Dで映像を表示できる。さらに、VRヘッドセットからアクセスした場合は、より没入感のある3D空間でコミュニケーションをとることが可能になる。

同セッションではこのほかに、産業分野でのメタバース活用として、川崎重工業の取り組みも紹介された。

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