CEATEC2022の「METAVERSE EXPO JAPAN」メタバースのリアル展示に意味はあるのか?

2022年10月18日(火)から22日(金)まで幕張メッセで開催されているテクノロジーの大規模展示会「CEATEC2022」。このなかで、メタバース関連企業による展示を集めた「METAVERSE EXPO JAPAN 2022 in CEATEC」が出展されている。

今回の展示は、今年7月にMeta社などが中心となり、完全招待制で行われたイベント「METAVERSE EXPO JAPAN 2022」内で行われた展示の一般公開版という位置づけとなる。

出展ブースの内容や、そこで体験できることを紹介しつつ、「メタバース関連の展示ををリアルで実施することの意味」についても考えてみた。

大日本印刷ブースで「映像+人」の合成を体験

印刷会社の強みを生かした高精細なメタバース空間づくりをしてきた大日本印刷のブースでは、バーチャル空間でリアルタイムに映像を制作する「バーチャルプロダクション」の体験が可能。

背景に映像が表示されたステージに人が立つと、配信画面ではステージ背景にその人の映像が合成された状態で表示される。

ブースではこのほかに、同社がこれまでにバーチャルプロダクションとXR空間システム「PARALLEL SITE」を使って製作したメタバース空間や、アバターなどの認証システム「PARALLEL ME」が紹介されている。

サイバーエージェントも、イベント配信システムを展示

サイバーエージェントは、イベントなどの配信画面に背景画像を合成し、参加者がコメントやリアクションを送ることができるシステムを紹介。

登壇者がグリーンバック前に立って話すと、そこにイベント内容に合わせた背景が合成される。それをYouTube埋め込みの形で専用のプラットフォームから配信することで、視聴者はコメントをしたり「いいね」を送ったりできる。

宇宙遊泳を体験できる「THE ISS METAVERSE」

「THE ISS METAVERSE」は、国際宇宙ステーション(ISS)の現在の飛行位置と連動した宇宙遊泳の体験コンテンツ。ISSから見た「今の地球」がメタバース上に再現されている。ブースでは、実際にQuest 2を装着して実際に宇宙遊泳を体験できる。

さらに、THE ISS METAVERSEを舞台にした、ボリュメトリック撮影を使ったライブの体験も可能。ボリュメトリック撮影は、動いている人などをさまざまな方向から撮影し、それをバーチャル空間に合成する技術。通常の2Dの映像配信とは異なり、さまざまな角度からライブなどを見ることができる点が特徴だ。

さまざまなサービスを一気に体験できる

このほかにも、さまざまなメタバース関連企業が出展。会場の端末からサービスを体験したり、サービスのイメージ画像などを見たりできるようになっていた。

凸版印刷のブースでは、同社が展開するバーチャルショッピングモールのアプリ「メタパ」や、企業向けショールーム構築サービス「MiraVerseショールーム」、3Dアバター自動生成サービス「MetaCloneアバター」などを紹介。

ソフトバンクは、「バーチャルPayPayドーム」のイメージを体験できる360°シアターを設置。

XR事業を手がけるドコモ発の新会社、NTTコノキューは、マルチデバイス型メタバースの「XR World」や、バーチャルライブ配信の「Matrix Stream」などを紹介。

VRM形式のアバターを簡単に制作できるpixivのサービス「VRoid Studio」のブースでは、会場のPCで実際にアバターを作ることが可能となっていた。

また、HIKKYのブースでは、夏に開催されたバーチャルマーケットVket 2022 Summerの会場をQuest 2やPCで体験したり、ブラウザで動くVRコンテンツ開発エンジン「VKetCloud」で制作された空間をARグラスで体験したりが可能となっている。

さらに、REALITYのビジネス向けメタバース構築プラットフォーム「REALITY XR cloud」や、テレビ東京が展開する「池袋ミラーワールド」、現在アルファシーズン3が公開中のThe Sandboxなども、それぞれのブースでサービスの紹介が行われている。

「メタバースをリアルに持ってくる」ことの意義

「リアルイベントでメタバースの展示」と聞いて違和感を感じた方もいるかもしれない。メタバースは、どこからでもアクセスできることが魅力のはずだ。それにもかかわらず、「リアル会場」にそのサービスを展示することに意味があるのだろうか?

B toBサービスのデモを体験できるものや、まだ誰もが持っているわけではないVRゴーグルを使ったコンテンツを体験できるものについては、リアル会場で体験機会を設けることもうなずける。一方で、個人のスマホやPCから無料でアクセスできるサービスについては、それぞれが自宅で自分の端末から試せば良いようにも思う。

しかし、今回実際にブースを回ってみて、現段階では結構意義のあることではないかと感じた。そこにあるのは、「リアルファーストの人にとってのハードルの低さ」だ。

実際、「メタバースに興味はあるけれど、実際にサービスを使ったことはない」という声を聞くことは多い。とくにビジネスパーソンの場合、まだまだエンタメのイメージが強いメタバースは「とっつきにくい」印象もあるのだろう。

そういった層にとっては、いくら「スマホから無料で利用できる」と言われても、みずからアプリを入れたり、サイトにアクセスしたりして実際にサービスを使ってみることは、意外とハードルの高いことなのかもしれない。

国内最大級のビジネス向け展示会であるCEATECの会場内に国内の主要なメタバース企業が集結していることは、これらの層がメタバースサービスに対する解像度を上げるうえで大いに役立ちそうだ。

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