10月18日から21日まで幕張メッセで開催された「CEATEC2022」。展示品のなかから、少し先の未来が便利になりそうなユニークな技術を紹介する。
鮮明な映像がテーブルから浮かび上がる
CEATECでは毎年、展示製品・サービスから、イノベーション性の高い優れた製品が選出される「CEATEC AWARD」が実施される。今年の準グランプリのひとつが、京セラ株式会社の「高精細 空中ディスプレイ」だ。
空中に映像を表示できるディスプレイはすでに存在するが、解像度が低いために操作パネルなどの用途にとどまっていた。このディスプレイは、独自設計のミラーを使った光学技術によって、高精細でリアルな映像表示を実現。医療や教育、アミューズメントなど幅広い分野での活用を想定しているとのことだ。
京セラのブースには、大・中・小の3種類の空中ディスプレイを体験できるコーナーが設置され、いずれも長蛇の列ができていた。
大型ディスプレイの体験はなんと90分待ち。今時ディズニーランドでもそこまで並ばないのでは……
比較的行列の短かった小型ディスプレイを体験してみた。一見、ただのテーブルに見えるが、この下に機器が埋め込まれており、テーブルの上に映像が表示されるようになっている。
投影が開始されると、「PAYMENT!」の文字と、QRコードを手に持ったキャラクターのホログラム映像が出現。視野角は30°と狭いものの、QRコードの読み取りができるくらいにはっきりした映像を見ることができる。
デモのQRコードは京セラのコーポレートサイトのものだったが、店舗のレジで決済用のQRコードをこの方法で表示すれば、季節に合わせてデザインを変えたり、おすすめ商品などの情報を一緒に表示したりもできそうだ。
なお、いずれのサイズも仕組みは同じで、今回展示されていたもののうち、一番大型のタイプの場合、壁から30cmくらいの距離に約10インチのサイズの映像を表示できるという。
「人間拡張」をテーマにした展示も
京セラのブースではこのほかに、「人間拡張」をテーマにしたコンセプト展示も行われていた。
「フィジカルアバター」は、リモートワークでの活用を想定したアバターロボット。遠隔操作で360°回転させたり、上下に伸縮させたりできるので、周囲を自由に見渡すことが可能。さらに「うなずく」動作も行えるため、リアルに近いコミュニケーションを行える。
また、「聴覚拡張ヒアラブルデバイス」は、音の「聞き逃し」に対応するためのデバイス。音を一定期間録音・保持し、そこから重要と思われるものAIが検知。重要な箇所のみが再生されるというものだ。
また、「歩行センシング&コーチングシステム」は、イヤホン、ブレスレット、アンクレットを装着して歩くことで、歩き方を高精度にセンシングできるシステム。リアルタイムで音声によるアドバイスを行うことで、美しい歩き方のトレーニングができる。
さらに、身体3か所のセンシングデータから全身の歩行姿勢を推定したアニメーションを作成。後からスマホで確認することも可能になるという。
今回は新技術のコンセプト展示という形だったが、いずれも実用性があり、ニーズの高そうなものばかり。「日常が今より少し便利になる未来」が想像できる内容だった。