日本科学未来館で「AIスーツケース」を体験。想像以上に頼もしい存在だった

“見えなくても、スーツケース型のロボットが目的地まで安全に誘導してくれる”——「AIスーツケース」は、そんな世界の実現をめざす視覚障がい者向けの移動支援モビリティだ。

IBMとアルプスアルパイン、オムロン、清水建設の4社で構成される一般社団法人次世代移動支援技術開発コンソーシアムが、日本科学未来館などと実証実験を進めている。

2023年9月に日本科学未来館で実施されたデモを体験してみた。

「AIスーツケース」は、市販のスーツケースをベースに開発されたロボット。内部にはPCやモーター、バッテリーが詰め込まれ、周囲の状況を認識するためのセンサー類も搭載されている。

利用時は、音声で指示を行ったりガイダンスを聞いたりするためのネックスピーカーを装着。今回は、館内にあるマイボトル用給水器を行き先として指定した。

スマホ経由で行き先を行き先を音声入力すると、スピーカーに「わかりました。マイボトル用給水器に向かいます」と音声が流れる。

ハンドル部分のボタンを押すとスーツケースが動き出すので、あとはスーツケースの誘導にしたがってやや後ろをついていけばよい。前方を人が横切った場合にはそれを感知して静止。人がいなくなると再び動き出す。

目的時に到着すると、「マイボトル給水器に到着しました。給水器は壁に設置されています…」の音声が流れ、さらに、関連した情報として同館の環境保護の取り組みなどのガイダンスも流れる。単なる道案内だけでなく、施設の案内も兼ねているわけだ。

再びボタンを押して、出発地点に戻りたい旨を音声で指示。帰路は、係員の人に勧められて目を閉じて歩いてみた。

途中で人の多いエントランスに出たことが周囲のざわめきでわかるが、人がいればぶつかる前に止まることがわかっているので、そこまで大きな不安はない。さらに、曲がるときには進行方向側のハンドル側面が振動するので、方向転換も戸惑わずに行える。

もっと恐る恐る歩くことになるかと思っていたが、想像していた以上に“頼もしさ”があった。今回体験したのは館内でのデモだったが、屋外での実証も進めているとのことだ。

次世代移動支援技術開発コンソーシアム

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