一般社団法人日本デジタル空間経済連盟は、2023年5月より実施した「デジタル空間での仮想オフィスの導入に向けた実証実験」に関する報告書を公表した。
この実証では、参加企業5社がバーチャルオフィス「oVice」を利用し、実空間で行っている業務や会議、チーム内でのコミュニケーションなどの業務を実施。顧客・従業員体験への影響、経済性やリスクなどの評価を行った。
その結果、「初対面の相手でも声掛けのハードルが低く、話すきっかけとなる」「メンバーが勤務しているか、話しかけていいか、等が管理者にて確認しやすい」「リモートワーク者の孤独感が減少する」といったメリットが挙がった一方で、「話したい相手が空間内にいないと話すことができない」「ステータスの都度更新が面倒」「監視されているという印象を受ける」などの声がデメリットとして挙げられた。
また、費用面では運営にかかるコストが物理オフィスに比べて低く抑えられるものの、リソース面では既存ツールとの併用が不便・二度手間だと感じるとの意見が多数あった。
リスク評価としては、情報漏洩・盗聴といったセキュリティ面でのリスクや、オペレーションミスが懸念事項として挙げられた。
報告書では、バーチャルオフィスツールの活用可能性として、「距離が離れたメンバーとのコミュニケーション」や「業務外コミュニケーションの活発化」を挙げている。
また、導入にあたって既存ツールと併用する場合は、利用目的の明確化やルールの制定、運用後のモチベーション維持が重要となり、既存ツールに置き換えて利用するにあたっては、機能面での不足ポイントが改善される必要があるとしている。