【講演録】MRグラス体験も提供 小田急百貨店のリアル×バーチャル郷土玩具展示の成果は?

コロナ禍によってリアル・バーチャルを同時開催する展示会などのイベントが増え、主催者はさまざまな試行錯誤を続けている。小田急百貨店が開催した郷土玩具の展示会「TSUKUMO-KAMI: soul of folk toys」では、リアル会場のMR展示とWebでのバーチャル展示を併用する試みを行った。

この記事では、3月14日に開催された「経済産業省 令和3年度事業『展示会等のイベント産業の高度化事業(実証事業)』採択企業の成果発表会」より、同社の発表「『郷土玩具×XR技術×クリエイター』による新たな伝統的モノづくり品展示会に関する成果報告」を紹介する。

登壇した株式会社小田急百貨店の石川 真 氏

リアル・オンラインで同時開催

「TSUKUMO-KAMI: soul of folk toys」では、リアル・オンライン双方で九州各県の郷土玩具を展示。

小田急百貨店新宿店で開催したリアル展示は、来場者は入り口でMRグラスを着用し、ガイドに沿ってコンテンツを体験。バーチャル展示ではCGで日本家屋の中に玩具を展示し、スマホやPCからアクセスできるようにした。

60歳以上の参加者もMRを体験

展示には、リアル500名、オンライン322名が参加。30代以下の参加者が約半数を占めたものの、リアル会場では60歳以上のシニア層の参加もあったとのこと。

また、オンライン会場では、リアル会場の開催時間外とのアクセスが14.6%となり、時間的な制約をオンラインで補完できた。また、コロナ禍で新宿に来ることができなかった人に対しても、一定の効果があったと想定できるという。

購買につなげるしくみとして、リアル会場では1階の特設会場で展示を行い、11階催事場で購入できる流れをつくった。また、ECサイトでは、バーチャル空間内に表示される購入ボタンからECサイトに移動して購入できるようにした。結果として、9.8%が商品購入もしくはECサイトへの遷移を行ったという。

来場者を対象に行ったアンケートでは、「郷土玩具だからさわりたかった」「インタラクティブにコミュニケーションがとれるとより楽しめそう」「もっと宣伝すればいいのに」「ツイッターのハッシュタグがあるといい」などの意見が寄せられた。

また、出展事業者からは、「制作過程が見られたり、歴史を感じ取れる工夫があると良い」「事前発信の強化と定着化を前提とすることが重要」という声が挙がった。

今後は、体験・体感のさらなる進化やタッチポイントの強化、ビジネスサイクルの確立が今後の課題となるという。

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