テレワークが働く人たちにどんな影響を与えているかについては、この1年半でさまざまなレポートが出ていますが、その中で私が気になったのが世代間格差です。
20代の4人に1人は「業務に直接関わらないコミュニケーション」を増やしたい
まず、サイボウズが2020年に在宅勤務者約3000人を対象に実施した調査。
「業務に関わるコミュニケーション」の時間についての質問では、「0分」と「30分未満の合計が約6割。
それに対して、多くしたいか少なくしたいかを問う質問には、全体の約8割が「適量」と回答しています。
一方で、「業務に直接関わらないコミュニケーション」の時間数は「0分」が42%を占めています。
それに対して全体では約7割が「適量」と回答し、「もっと多くしたい」は2割弱にとどまったものの、年代別の集計では20代の26%が「もっと多くしたい」と回答しています。
この「もっと多くしたい」の回答割合は20代から50代まで年代が上がるにつれて低下しており、ベテランと若手の間で認識の差が生じていることがうかがえます。
20代は「自分がどう映っているか不安」
また、在宅勤務による「職場の人との関係性変化」についての質問では、「何をしているか分かりにくい」「話さない人が増えた」が全体で5割を超える結果になっています。
この質問で世代間の差が大きく現れたのが、「自分がどう映っているか不安」という項目。20台は半数以上が「はい」と答えているのに対して、50代では3割を切っています。
もちろん、テレワークに関係なく、若者のほうが人の目が気になってしまう傾向が強いということもあるのでしょう。とはいえ、「何をしているかわかりにくくなった」の回答の多さを鑑みると、お互いの動きが見えないことが、若手世代の不安の一端になっている面はあるのかもしれません。
20代は在宅勤務で「モチベーションが低下」
別の調査でも世代間が明確に現れていたものがあります。
NTTコム リサーチが2020年に実施した調査での「在宅勤務において感じる不安や悩み」を問う質問では、「モチベーションが低下し、やる気が出ない」は、他の年代が20%を下回っているのに対して、20代は約30%と突出して多い結果となりました。
このほかに、「不眠に悩んでいる」「家に一人きりで孤独感が強まった」なども他の世代に比べて20代は10ポイントほど高くなっています。
もちろん、テレワークを上手に活用し、充実した生活を送れている若手世代もいるでしょう。その一方で、人との接点が減ることで仕事のモチベーションが低下したり、メンタルに不調を感じる若者も少なからず存在することが、調査結果から見てとれます。
もちろん、これらの課題のすべてがVRなどの仮想空間で解決できるわけではありませんが、相手の存在を感じやすいコミュニケーション手段を使うことで、そんな孤独感の解消を後押しすることはできるかもしれません。そういった意味で、仮想空間を使ったコミュニケーションには可能性を感じています。
参照
在宅勤務者3,000人に聞く「テレワークのコミュニケーション」調査